前の記事の続きで、7月24日の朝、売主さんと直接お話することができました。
今回の記事では、そのときの内容をお伝えしたいと思います。
現地に向かう前に
しでも物件を安くしてもらおうという下心実現に向けて、何ができるか考えました。
で、結果、現地に向かう前にコンビニにより、ペットボトルの麦茶を4本(自分、売主さん、不動産屋さん2人の分)買っていくことにしました。
物件現地でお会いすると約束ですが、現地はエアコンはおろか、扇風機もありません。
しかし外は呼吸するのも辛くなるような暑い陽気。
水分がないと熱中症の危険もあります。
そこで、飲み物を買っていくことにしたのです。
コーヒーでもいいかなと考えましたが、苦手だった場合も考えて、無難に麦茶にしました。
売主さんとは初対面。
500円程度の支出ですが、これで少しでも印象が良くなるなら安いものです。
売主さんと初対面
自分でリフォームされるくらいなので、ゴリゴリの職人みたいな感じで、失礼ながら頑固爺みたいな人かななんて思っていましたが、
お会いすると優しそうなおじいさんで、ちょっとほっとしました。
一方、相手が受ける印象も大事です。
80代の方なので、「ちょっと人懐っこい陽気な兄ちゃん」みたいな感じだと、孫みたいに可愛がってもらいやすいかなと思い、
あえてカチッとした服を着ずに、サンダルにジャージで、ちょっとおしゃべりそうな感じをできるだけ演じるようにしました。
こちらから「どもっ!○○です、今日はよろしくです。あっ暑いんでお茶買ってきたので飲んでください」みたな感じで気軽に挨拶してみました。
「おおっ、わざわざ」とお茶は結構効果ありだったと思います。
売主さんとの話の内容
売主さんに椅子に座ってもらって、お話開始。
といっても、いきなり本題に入るのもあれかなと思ったので、
まずは、自分でリフォームをすすめてきたことを褒めまくりました。
すると、もともと建築関係の仕事をしてたということを聞き出すことができました。
そして、ピカピカだったお風呂とキッチンはやっぱり新品だったようです。
驚くことに、以前は自宅にショールームがあって、そこに飾っていたものの余りをあてがったそうなのです。
仕事はおそらく内装関係かな?
自宅にショールームがあったくらいだから、少なくとも事業の代表者(であった人)でしょう。
リフォーム中の話の中で、沈むような気がする床の話や、リフォームをした理由も聞けました。
床は根太も変えたとのこと。
まあ、僕も「気がするレベル」の話なので、深くは突っ込まず。
そして、リフォームした理由はやはり自分で住むためでした。
もうリフォームも2年近くかけているのだとか。
奥さんと2人で現在も暮らしており、リフォームもたまに奥さんに手伝ってもらっていたんだとか。
あと、一時期、家を5件持っていて、大家もやっていたなんて話も飛び出てきて、今は処分したらしいですが、お金には困ってなさそうな感じでした。
しきりに「年金暮らしだから」とは言うものの、中流サラリーマン家庭で育ってきた僕でも「おお」と驚くような話がちらほら垣間見えます。
お金に困ってないと、売り急いでないので、交渉はやりづらいかもしれません。
一通り売主さんのリフォームストーリーと昔話を聞いた後、物件で気になっていたことをきいていきました。
電動シャッターはリモコンありました。
僕が見せてもらったのはよく見るタイプのリモコンでしたがセロテープで補強されてたり、ちょっとボロボロでした。
ただ、もう1個カードキー型のものもあるとのこと。
とにかくリモコンで操作できるのはありがたい。
売主さんも結構車好きで、いろいろ乗ってきたそうです。
ブレーカーから線が飛び出ていたのは、リフォーム中だけ電気を限定的に使っていたためでした。
僕も詳しくないのでわかりませんが、どうやら、電柱から電気を引く送電線を3本引っ張ってくることで本来の性能が発揮できるブレーカーなのだそうですが、リフォーム中はあえて2本しかつないでなかったということでした。
2本分でも、大概の電気はつくし、生活にも支障はないという話でした。
これは僕がもうちょっと電気に詳しくならないとわかりませんね。
ただ、物件購入時はつないでもらえるそうです。
エアコンの室外機は、建物の裏側にスペースがありました。
ちゃんと内見ときに見とけばよかったな。
4人全員で建物裏まで入っていき、スペースの幅が今使っているエアコンの室外機よりも広いことを確認しました。
ただ、スペースの奥に得体のしれないトタンで覆われた何かがありました。
これについて聞いてみると、
「昔トイレがあったのよ」
とのこと。
別に室外機置けたらなんでもいいんだけど、このトタン部分がなんと隣の敷地に越境しているそう。
ちょっと不安も覚えながらも、
「話はしてあるから揉めることはない」
とのこと。
「それならいいのか?」
昔の家だとこういうことがあるんだろうなあ。
心配は心配だけど、もともと自分たちで住むつもりでリフォームしてたくらいだから、問題はないんだろうと、開き直ることにしました。
次は、一番重視しているといってもいい、車庫に車入るか問題。
車庫の大きさだけは、内見のときに測って余裕で入ることが確認できていますが、前の道路が狭いため、車を入れられるかどうかが不安でした。
ぱっと見ではいけそうな気はするんですけどね。
せっかく、売主さんが目の前にいるので、お願いして車を止めさせてもらうことに。
車を実際入れようとすると、一発では入らなかったものの、慣れてないので2回ほど切り返して入れることができました。
慣れれば切り返し一回くらいで入れられそうです。
ただ、前の道路が狭い癖に結構交通量が多いため、待たせていても慌てず車庫入れするという精神力の強さは試されそうです。
売主さんと価格交渉
全員で椅子の置いてあった部屋に戻ってきました。
聞きたいことは一通り聞き終わったので、あとは物件価格の交渉です。
交渉材料になりそうなことは、、、
●値下げの材料
・リフォーム途中で止まっており、今まで見に来た人もなかなか買うまで至らなかったこと→早く決めたくない?
・家の築年数が古い
・残置物がある
・越境している
パっとこれくらいしかこの時は思いつきませんでした。
あとは、なぜ売主さんが800万円という価格をはじめにつけていたかを聞いて、そこからつついていくくらいしかありません。
なんせ、500万円という下限を自ら決めてしまっている上、自分もこの物件が結構気に入っているため、あまりに無茶な交渉はできません。
「別にこの物件変えなくてもいいや」
このマインドはめちゃくちゃ大事ですね。
さて、一瞬で頭を整理したところで、いよいよ切り出します。
全部を記憶しているわけではないですが、少しやりとりも書いてみます。
自分「一通り聞きたいことは聞けたので、あとは値段ですね。」
切り出し方もわからないため、文字通りそのまま切り出しました。
まずは、何から言い出せばわからなかったので、とりあえず今までの振り返りのような一言。
自分「500万だったら買いたいなと思うんですけど、安くならないですか?」
しゃべりながら、何かないかと考えます。
売主さん「それはきついねえ。もう600万まで下げてるし。私も年金暮らしだからあまり安くても困るよ」
その話何回もしてるなあ。
そこからなんとかならないか?
自分「だったら、早く売れた方がよくないですか?」
売主さん「別に急いでないよ。私ももう先が長くないし、私がなくなったら嫁が処分すればいいし」
やっぱり売り急いでない。
どう考えても、「生活困る発言」と「売り急いでない発言」が矛盾してる気がするんだけど、そこを掘り下げたところでこちらが有利になる材料が思いつきません。
そこで、物件価格800万円の理由を聞いてみました。
自分「どうして800万円という値段がついていたのですか?」
売主さん「それは、買ったときの値段と、自分がリフォームにかけた時間と自分の人件費を考えて…」
ここまで言われて、もう理屈で攻めるのは無理だと判断しました。
値段の理由を聞かれて、パッと理由が出てこないようであれば、攻めどころはあると思っていたのですが、
即答で返答してきたので、ここからは安くならないと思いました。
というのも、そのリフォーム費用うんぬんの話が本当でも嘘でも、
自分なりの理屈をもって価格設定をしているわけで、そこを覆そうとするということは、多かれ少なかれ売主さんの考えを否定することになってしまいます。
なので、ここからは理屈はやめて、泣き落とし作戦に出ることにしました。
自分「え~いいじゃないですかあ。貧乏な若者に優しくしてくださいよお」
売主さん「私だって年金暮らしだし、お金はないよ」
急に僕が切り替えてきたので、ちょっと驚いた様子を見せる売主さん。
自分「家5件も持ってたくらいだから、お金持ってるでしょ?」
売主さん「いや、きついよ?車も3台維持しないといけないし」
車3台もあるのかよ???初耳だぞ?
自分「車3台もあるなら余裕あるでしょ?僕1台維持するのもやっとですよ?」
もう、とにかく休む間なく畳みかけます。
自分でも何がいいたいのかわからなくなる応酬です。
売主さん「そうは言っても私も老い先短いからなあ」
自分「僕はまだ先長いんですよ?優しくしてくださいよお。若者に愛の手を」
不動産屋さんは苦笑してました(笑)
もうこれ以上いうことが出なくなったので、500万は諦めて間をとる方向に変えました。
自分「わかりました」
自分「荷物このままでいいんで、それで550万円でどうでしょ?」
残置物は引越しまでに売主さんが撤去するという話をしてました。
残置物といっても、材料と工具がほとんどですし、他の仕事で使うとなったら必要なものなのかもしれません。
正直、交渉材料の中では弱いと思っていましたが、賭けで使ってみました。
売主さんは一瞬考える素振りを見せて間があきました。
売主さんと僕がどちらも黙ったことで、静かになりました。
ほんとに一瞬ですけど、30秒くらいあいたような感覚でしたね。
売主さん「よっしゃ、じゃあ550万円でいきましょ」
無事交渉成立です。
不動産屋さんも下がると思ってなかったのか、二人とも「おおっ」ていう声をあげてました。
冷蔵庫の中身だけ処分してもいますが、
・残置物はそのまま
・前述した電気工事を売主さん負担でやってもらう
という条件で550万という価格で成立しました。
残置物撤去って言ったって、工具に材料に冷蔵庫くらいなもので、冷蔵庫も普通に使えるため、実質50万円をさらに下げてもらったようなものです。
材料を置く場所は広々してますし。
かなりこちらとしてもお得な条件です。
交渉というか、結局「お願い」みたいな感じになってしまいましたが、
意外と泣き落としとか、感情に訴えかけるのも功を奏すものだと思いました。
その後、不動産屋さんの店舗が近くにあったので寄って、住宅ローンの書けそうな書類を一通り書いて帰りました。
そこで、今後大家さんをしていきたい旨を伝え、
「売主さんに今回みたいに直接僕が交渉にいくので、いい物件出たら紹介してください」
とアピールはしときました。
どこまで効果があるかはわかりませんが、結果的にうまく実績を見せることができたのは棚ぼたでしたね。